大国に嫁いだ小国の姫は国家機密を知り影武者と取引する【完結】

(よっしゃー!ナイスタイミング!)

ミトは思わずガッツポーズをとってしまった。
今日はセルファが来訪する日だが、今朝から生理が来たのだ。
これで、断る口実ができた。しかも、このタイミングなら次回も堂々と断れる。
いつ影が復活するかわからないが、とりあえず1週間はやりすごせる。
ミトはホッと胸を撫でおろした。

そして夜になった。
今日のセルファは公務が忙しく、いつもより遅い時間になるらしい。
セルファにはミトの情報は伝わっているはずだ。

(もしかしたら、ユフィーリオ様と一緒にいるのかな?)

ミトにとってはどうでも良いことだが、なんとなく公務以外の理由で遅れるのではないかと感じていた。
結局、23時を少し過ぎた頃、セルファはようやくやってきた。

(今日もセルファ本人だ…)

少し緊張しながらドアを開けたミトは、ガッカリした。
影はまだ回復していないということだ。
今日もまた、セルファを相手に下手な芝居をしなければならず、ミトは憂鬱だった。

「遅くなってすみません」

開口一番、セルファはまず謝罪した。

「いいえ、全然気にしてません」

むしろ、いっそ来てくれない方がいいのに、と思うミトである。
もちろん、口になど絶対に出せないが。

「お疲れですよね。部屋に入って休んでください。お茶を入れますね」

そう言って、セルファを招き入れるミト。

「ありがとう」

セルファは前回と同じく、ソファに腰を下ろした。

「ベッドに横になっていていいですよ」

ミトはお茶の準備をしながらセルファに声をかけた。

「いや、大丈夫だよ」

「でも、とても疲れた顔をしてますよ」

最近暑くなってきたので、ミトはアイスミルクティーを作った。
素早く準備をしてソファの前のテーブルに置く。