大国に嫁いだ小国の姫は国家機密を知り影武者と取引する【完結】


「ミトさま?」

呼びかけられてハッと我に返ったミト。

「とても心配されてるんですね」

「え?ええ、まぁ、あたりまえじゃない」

「イザリアに薬を送ってもらうことになったそうです。近日中にローザンに届きます。そうしたら、セルファ様も快方に向かわれると思います。大丈夫ですよ」

エイナはミトの背中を優しく撫でた。

「だから、安心なさってください」

「うん…」

エイナはそう言ってくれるが、ミトの気分は晴れなかった。
影はセルファとして扱われているのだろうか?
れとも、影としてその存在を知る者だけで看病されているのだろうか。
どちらにしても、孤独に違いない。

(何かしてあげたいのに、その術がないんだ…)

益々ミトの表情は沈んだ。

「でも、少し意外です」

全く表情の晴れないミトに、エイナは話しかける。

「ミトさまはセルファ様を本当に大事に思っておられるんですね。
正直、もっとドライに割り切っているんだと思っていました」

エイナは遠慮のない本音を漏らした。

「そりゃ…ね…」

ちょっと、いやかなり違うのだが、そういうことにしておこう。
エイナに勘繰られると面倒なので、ミトは言葉少なに話を切り上げた。