「ミト」
そう呼ばれ、ミトは振り向いた。
「そう呼んで良いでしょうか?」
どこまでも暖かな眼差し。この人が自分の伴侶となる。
不思議な感覚だった。
「ええ。もちろんです」
「私のことも、セルファと呼んでください」
「セルファ…様?」
「様はいりません」
「は、はい…」
ほぼ初対面の相手をいきなり呼び捨てにすることに抵抗があったが、優しいのに有無を言わさない力を感じる眼差しに、逆らえないミトだった。
「セルファ、でいいですか?」
満足そうに頷くセルファ。
「ミトは緑が好きだと聞いていたので、部屋はグリーンを基調にして、日当たりの良い部屋を選びました。窓からは中庭が良く見えます。季節毎に色々な花を咲かせますよ」
セルファの言った通り、落ち着いた、だけど華やかさを感じさせるグリーンが多く使われている。
部屋の中にもたくさんの花々が飾られていた。
金や宝石など立派な装飾が多い王宮とは違った雰囲気だ。
「素敵なお部屋を用意していただき、ありがとうございます」
「気に入っていただけたでしょうか?」
「ええ。もちろん」
「良かった」
セルファは眉を下げ、ホッとしたような顔で笑った。
「何かあれば、近くにいる者に何なりと言いつけてください。疲れているでしょうから、夕食は部屋に用意するよう伝えてあります。
私も同席したいのですが、これから公務があるので、一緒にいることができないのが残念です」
そう言って、セルファはミトの頬に触れた。
「!」
硬直するミト。
でも、さっきの失敗を繰り返さず、大人しく棒立ちになった。
そんなミトの額に、セルファは優しく短い口付けをする。
ミトは大慌てで周囲を見渡したが、いつの間にやらこの部屋には自分とセルファだけになっていた。
「それでは、明日の晩餐会、楽しみにしています」
セルファはミトからすっと離れると、部屋を出て行った。
そう呼ばれ、ミトは振り向いた。
「そう呼んで良いでしょうか?」
どこまでも暖かな眼差し。この人が自分の伴侶となる。
不思議な感覚だった。
「ええ。もちろんです」
「私のことも、セルファと呼んでください」
「セルファ…様?」
「様はいりません」
「は、はい…」
ほぼ初対面の相手をいきなり呼び捨てにすることに抵抗があったが、優しいのに有無を言わさない力を感じる眼差しに、逆らえないミトだった。
「セルファ、でいいですか?」
満足そうに頷くセルファ。
「ミトは緑が好きだと聞いていたので、部屋はグリーンを基調にして、日当たりの良い部屋を選びました。窓からは中庭が良く見えます。季節毎に色々な花を咲かせますよ」
セルファの言った通り、落ち着いた、だけど華やかさを感じさせるグリーンが多く使われている。
部屋の中にもたくさんの花々が飾られていた。
金や宝石など立派な装飾が多い王宮とは違った雰囲気だ。
「素敵なお部屋を用意していただき、ありがとうございます」
「気に入っていただけたでしょうか?」
「ええ。もちろん」
「良かった」
セルファは眉を下げ、ホッとしたような顔で笑った。
「何かあれば、近くにいる者に何なりと言いつけてください。疲れているでしょうから、夕食は部屋に用意するよう伝えてあります。
私も同席したいのですが、これから公務があるので、一緒にいることができないのが残念です」
そう言って、セルファはミトの頬に触れた。
「!」
硬直するミト。
でも、さっきの失敗を繰り返さず、大人しく棒立ちになった。
そんなミトの額に、セルファは優しく短い口付けをする。
ミトは大慌てで周囲を見渡したが、いつの間にやらこの部屋には自分とセルファだけになっていた。
「それでは、明日の晩餐会、楽しみにしています」
セルファはミトからすっと離れると、部屋を出て行った。



