大国に嫁いだ小国の姫は国家機密を知り影武者と取引する【完結】

「10日ほどローザンを離れることになったんだ」

ユフィーリオはセルファの胸の中で、その話を聞いたときのことを思い出していた。

「私も一緒に行けるのよね」

ユフィーリオは当然のように聞いた。
日帰りや1泊でセルファがローザンから出たことは何度もあるが、数日に及ぶ場合は必ずユフィーリオも帯同していた。

「いや、今回はイザリアまで船で行く。目的も政治的な交渉のみだ。だから、僕と父だけで行くことになった」

「え…」

10日間もセルファと離れなければならない。
そのショックでユフィーリオは言葉を失った。
同時に涙が溢れてきた。

「ユフィ?」

「そんな…、私、そんなに長い間あなたに会えないなんて、耐えられない…!」

セルファの胸に崩れ落ちるユフィーリオ。
優しく受け止めながら、セルファはクスクスと笑った。
不思議に思い、涙に濡れた顔を上げると、セルファの優しい瞳に自分が映っていた。

「もちろん、僕もそんなことは耐えられない」

「じゃあ、どうして笑っているの?」

「ユフィが可愛いからだよ」

セルファはあやすようにキスをした。
甘えるユフィーリオ。
セルファと10日間も触れ合えなくなるなんて、信じたくない。
ユフィーリオはキスをしながら泣いた。