大国に嫁いだ小国の姫は国家機密を知り影武者と取引する【完結】

「そんな、私どもに頭を下げるなど、どうかお止めください」

カルロスが恐縮しながら言った。

「いいえ、私のわがままでお仕事を増やしてしまったんですもの。どうか宜しくお願いしますね」

ミトは顔を上げ、笑顔でもう一度お願いした。

「は、はい!」

返事はしたものの、王族のこのような態度に慣れない2人は困惑気味だ。

「青空マーケットにも行かれるそうですね。どうかお楽しみください」

「あの、セイラム様はこの後どうされますか?」

ミトは思わず聞いていた。

「何かご用でしょうか?」

聞き返されてしまった。

「いえ、そういうわけでは…」

「何でもおっしゃってください」

「え~と…」

(一緒についてきてほしいなんて、無理なお願いかな…)

ダメだと思いつつ、セイラムの優しい眼差しに甘えてしまいたくなるミト。
そんなミトを、セイラムは穏やかな笑顔で待っていた。

(そうか、セイラム様って、お兄様に似てるんだ)

姿かたちは全く似ていないのだが、穏やかでどこまでも優しい雰囲気が兄に似ている。

「初めて一般エリアに行くのは不安もございますでしょう。私も同行させていただいてもよろしいでしょうか?」

ミトが無言で次に言う言葉を考えていたら、セイラムから申し出てくれた。
自分の望んでいた言葉を言われて驚くミト。

「いえっ!大丈夫です。セイラム様は多忙でいらっしゃるでしょう?」

すごくうれしかったが、あまりにも申し訳なさ過ぎて反射的にミトは断ってしまった。
王もセルファも不在で、側近のセイラムが忙しくないわけがない。

「ミト様の安全を守るのも私の大事な仕事の一つです」

「……」

そう言われたら、もう何も言えないミトであった。

「ありがとうございます」

素直にお礼を言うことにする。

「業務ですから」

セイラムの包み込むような微笑に、ミトは暖かな気持ちになった。