大国に嫁いだ小国の姫は国家機密を知り影武者と取引する【完結】

「南の庭園は、今日早速行ってみますね。宝石のお部屋は、今国王もセルファも不在で大変でしょうから、落ち着いたときに改めてお願いします。
教えていただき、ありがとうございます。お引止めしてしまって、ごめんなさい」

「お気遣いいただき、ありがとうございます。しかしながら、ミト様の申し付けはすぐに対応致します」

セイラスはミトに恭しく頭を下げた後、穏やかで優しい笑顔を向けてから、早足で立ち去ってしまった。やはり忙しいようだ。
なんとなく、ミトはセイラムが見えなくなるまで見送る。
少し寂しい気持ちになった。

その後、展望台と南の庭園に足を運んだ。
展望台から見る景色はとても清々しかった。
ラミリアと人口が違う。遠くまで建物がギッシリ並び、所々に大きな緑が見えた。
王宮でも別邸でもそうだが、人々の憩いとなる緑地にも重点を置いているのだろう。
人々が見えるわけではないが、活気のある空気が伝わってくるようだった。

南の庭園の芝桜も、これまた素晴らしかった。
思わず感嘆の声をあげてしまうミト。
日にちは限定されるが、街の人々にも無料で開放しているそうだ。

ミトは大満足の上機嫌で別邸へ戻った。