大国に嫁いだ小国の姫は国家機密を知り影武者と取引する【完結】

「仕方ないよ。また王宮にでも行ってみるわ。ここにずっといるのも、飽きちゃうもの」

と、思いつきのように言ってみた。

「そういえば、最初は王宮の見学に行ってたみたいだけど、最近はずっとこっちで過ごしていたのもね。何かあったの?」

さりげなさを装いながら、ティアラはミトに探りを入れる。

「え?特に何もないよ。統計学の先生を紹介していただいたし、そっちに夢中になってただけ」

「本当にそれが理由?」

「どうして?」

発言が不自然だったのだろうか?
ミトは内心ヒヤヒヤしていた。
嘘をついたり演じたりするのは、どうも苦手だ。

「王宮で偶然セルファに会った日があったでしょう?あの後から王宮に行かなくなったじゃない?もしかして、アリアに何か言われたんじゃない?」

(え!?私がセルファと会ったこと、ティアラは知ってたの!?)

そのことに驚いた。

「あら、今どうして知ってるの?って顔したわね。だからミトは呑気なのよ」

ふぅっとため息をつくティアラ。
ミトは意味がわからず、ただポカンとするしかない。

「ここに来て、ミト程自由に行動する人は初めてよ。だから、最初はかなり注目の的だったのよ。セルファの側室ですもの。どんな行動をしているか、情報はすぐに回ってくるわ。
アリアなんて、王宮に行くあなたを知って、きっとセルファに会って媚を売りたいんだって思ってたはずよ」

「何も言われてないけど…」

そんなことになっていのかと呆然とするミト。

「あら、そう。あの子も自分の感情をぶつけて立場を悪くしたくないと思う程度に常識はあるみたいね」