大国に嫁いだ小国の姫は国家機密を知り影武者と取引する【完結】

2時間ほど寝たので、目さえ覚めてしまえば大して眠気はない。
せっかくだから統計学の勉強を進めることにした。
ミトは本とノートを準備し、今日統計学者に教えてもらった内容の復習をし始める。
そして、あっという間に2時を迎えた。

ベッドへ行き、影を見ると、起こすのが可愛そうなくらいぐっすりと眠ってる。
しかし、ここで起こさなければ後で何を言われるかわかったもんじゃない。
影に近づき、声をかけようと思った瞬間…。

「うわっ!」

パチリと影の目が開いたのでミトは驚いた。

「なんだ…、ミトか」

ダルそうに体を起こす影。

「2時になったよ。大丈夫?随分と疲れているみたい」

「……」

影は無言。
声を出すのもしんどいようだ。

「今水を持ってくるね」

ミトは急いでコップに水を用意した。
影は頭を低くしてベッドにうずくまっている。

「大丈夫?どこか具合悪いの?」

ミトは心配になって影の顔を覗き込んだ。

「なんてことねーよ」

そのままの姿勢で答える影。

「飲む?」

コップを差し出すと、影は受け取って一気に飲み干した。

「ありがとう」

そう言われて、ミトは目をパチパチとさせた。

「あなたでもお礼の言葉を知っているのね」

「どーいう意味だ」

影はコップをミトに渡し、ふっと笑った。