「そういうわけで、しばらく皆には会えなくなってしまいます。
私も父もローザンを離れますが、セイラムを始め国には主要の者が残るので不自由はありません。万が一何かあれば、即座にイザリアに使いを出してください」
そう言ってセルファは一人一人の顔を見つめた。
「私、寂しいです…」
アリアが泣きそうな顔で訴えた。
「申し訳ありません。帰ってきたら、時間を作りますから、どうか許してください」
セルファはアリアの席まで移動し、そっと肩を撫でた。
「今日はこのままここで食事を…といきたいところなのですが、出国の準備がまだ残っているのです。本当に申し訳ありませんが、私はここで失礼します」
「お気をつけて行ってらしてね」
ティアラは慣れた様子で声をかける。
ユフィーリオは無言で頷いた。彼女はこの後もセルファに何度も会えるのだろう。
アリアはついに泣き出した。
ミトはとりあえず笑顔で見送ることにした。実際気持ちはウキウキだったのだ。
(王宮にセルファがいない!ってことは、王宮に行ってもセルファには絶対会わない!何の気兼ねもなく王宮探検できる~!ついでに、夜の拘束もなし!)
ミトの心はヒャッホーイである。
さあ、10日間何をしよう。



