「失礼します、6年2組濡沢衣です。」 「なんでおまえ…」 椅子から思わず立ち上がると、濡沢に止められた。 「だめだよ矢田君。体調悪いんでしょ?無理しないで。ほら、私が荷物持ってきたよ。」 優しいーーそれこそお母さんのようなーーー声を出しながら、俺の黒いランドセルを目の前に置く。 「んだテメェ、急に優等生ヅラしやがって。」 「私元々成績とかは良かったし?」 先生たちがたくさんいる教室のため、声を荒げたり殴ったりができないのがもどかしい。 バレないように小声で会話する。