目線を上に上げると、あおいが私を踏んでいた。

あおいの丸メガネの奥は、黒ずんだ瞳だった。

私を見下している。

目線が、瞳が絡む。

少しあおいの口の端が上がった。

そして、ぐっっ、と腹を勢いよくふまれる。


苦しい…!

胃のあたりからボコボコ言っているのが、体でわかる。



「おい、立て」

あおいが、瞳と同じような黒い声を出す。

「ぐ…げほっ…ぐ…」

逆らえない。

大人しく立ち上がる。

よろめきながら立ち上がると、ガッと背中を掴まれた。

いや、詳しくはランドセルを掴まれた。


肩にかかっていた教科書やらの重みが消え、代わりに野次馬の視線がかかる。


後ろでランドセルが階段から落とされる音が聞こえた。

きっと真がやったのだろう。