掃除が終わった頃には、空の3分の2が紺色だった。
家に帰って電気をつける。
「…ただいま」
空気に向かってつぶやく。
マンションの一室。
マンションにしては少し広めの部屋は、荒れていた。
家具は机と薄汚れた座布団しかない。
床は…足の踏み場もないほど、物が散乱していた。
机を見ると、一万円札が置かれていた。
3日に1回。母と衣だけの、濡沢家のルール。
衣の母は水商売をしている。
性格は、周囲だけを気にして娘を捨てるほどなのに、
皮肉なことに年に反して顔は良い。
衣は何とも思わない。
母が仕事のために、金のために、娘まで捨てて、体を売っていることを。
客を騙していることも。
金はたくさん入ってくるはずなのに、衣には3日に1回、一万円が渡されるだけ。
大金に感じるかもしれないが、これは食費などだけでなく、電気代やガス代も込みだ。
そう、衣が払うのだ。
本当は山ほどあるはずの金を、子供には一万円を3日に1回。
しかもそれを家賃なんかにも使えと言うのだ。
食費は、コンビニの安いパンやおにぎりにすこしあて、余りは貯金で家賃などにあてる。
これが毎日。
元々衣は少食のため、時には夜ご飯をおにぎり一個ですます。
今日は飯など考えていられなかった。
食欲など湧かない。
着替えたい。
我が家には服すらまともにない。
学校の制服が普段着になってきている。
2着あるから毎日洗濯はするが。
さっさとセーラー服を脱ぎたい。
家に帰って電気をつける。
「…ただいま」
空気に向かってつぶやく。
マンションの一室。
マンションにしては少し広めの部屋は、荒れていた。
家具は机と薄汚れた座布団しかない。
床は…足の踏み場もないほど、物が散乱していた。
机を見ると、一万円札が置かれていた。
3日に1回。母と衣だけの、濡沢家のルール。
衣の母は水商売をしている。
性格は、周囲だけを気にして娘を捨てるほどなのに、
皮肉なことに年に反して顔は良い。
衣は何とも思わない。
母が仕事のために、金のために、娘まで捨てて、体を売っていることを。
客を騙していることも。
金はたくさん入ってくるはずなのに、衣には3日に1回、一万円が渡されるだけ。
大金に感じるかもしれないが、これは食費などだけでなく、電気代やガス代も込みだ。
そう、衣が払うのだ。
本当は山ほどあるはずの金を、子供には一万円を3日に1回。
しかもそれを家賃なんかにも使えと言うのだ。
食費は、コンビニの安いパンやおにぎりにすこしあて、余りは貯金で家賃などにあてる。
これが毎日。
元々衣は少食のため、時には夜ご飯をおにぎり一個ですます。
今日は飯など考えていられなかった。
食欲など湧かない。
着替えたい。
我が家には服すらまともにない。
学校の制服が普段着になってきている。
2着あるから毎日洗濯はするが。
さっさとセーラー服を脱ぎたい。


