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悠輝が自宅でTシャツ短パンになってくつろぎながら動画編集をしていると、蒼也から電話がかかってきた。
「やあ、何か用?」
「今帰ってきたら、朝出しておいたクリーニングが返ってきてたんだが、ポケットの中にコンドームが入っていたらしい。おまえ、何かしただろ」
「うん、パーティーのときに、蒼ちゃんが遠慮するから、入れておいたんだよ」
「よけいなことするなよ」と、釘を刺しつつ、蒼也の声は抑え気味だった。「それよりもさ、このクリーニングがソファの上に投げ出されていたんだ」
「もしかして」と、悠輝が唾を飲む。「翠ちゃんが見つけたってこと?」
「なのに部屋にいないんだ。うちの運転手は職場から送ってきて、俺の方に来たから居場所は分からないと言っている」
「勘違いして出て行っちゃったのか」
「どうもそうらしい」
とんでもない誤解を生んでしまったことを悟って悠輝は叫び声を上げた。
「うわあ、どうしよう。ごめん、蒼ちゃん」
「俺から連絡しても返信がないんだ」
「GPSとかで探せないの?」
「そんなの設定してるわけないだろ」
「分かった。僕が連絡する。必ず探すよ」
「頼む。俺はこれからまた会議があって時間が取れない」
「ホント、ごめん、蒼ちゃん」
震える手でスマホを握りしめた悠輝はいくつかメッセージを送ると、すぐに着替えて部屋を出た。



