ベンチャーCEOの想い溢れる初恋婚 溺れるほどの一途なキスを君に


   ◇

 シャワーを出た蒼也は、スマホにたまっているメッセージをチェックした。

 ――ん?

 財務責任者からSNSの画面が転送されてきた。

 須垣と蒼也がパーティーで話している写真が問題視されているというのだ。

 あの時はただ挨拶をしただけで、業務に関する話はしていない。

 今回の騒動に便乗して、あたかも情報が流出していたように見せかけるため、意図的に流されたらしい。

 この画像にはすでに百を超えるコメントがついていた。

《インサイダー確定?》

《ヤバいだろ》

《これは決定的》

《通報案件》

《炎上確定》

 脇が甘かったと言われればその通りだが、明らかに反社会的立場の人物でない限り名刺交換くらいはするし、写真を断ることもできない。

 ただそれを悪用されたら誤解を鎮めるのは不可能に近い。

 株式市場の取引開始まで三十分。

 今日も波乱の一日になりそうだ。

 蒼也はスーツをクリーニングサービスの袋に入れて玄関先に出し、新しいスーツに着替えるとオフィスへ向かった。