ベンチャーCEOの想い溢れる初恋婚 溺れるほどの一途なキスを君に


   ◇

 淡い光が差し込む朝のキッチンで、蒼也が翠の腰に腕を回し、首筋にキスを落とす。

「翠、食べてもいい?」

 吐息が火照った肌をくすぐり、胸が熱くなる。

「蒼也さん、朝からそんな……」

 ――ベッドから出たばかりなのに。

 身をよじり逃げようとする翠を、蒼也ががっちりとした腕で引き寄せる。

「俺の心を乱れさせるのは誰だよ」

 男の指が荒く髪を梳き、瞳がまっすぐに捕らえられる。

「蒼也さん、こんなの……愛されすぎです」

 うずく体に途切れることのないキスが襲いかかり、翠の鼓動を狂わせる。

「逃がさないよ」

 胸から舌を這わせていく容赦ない視線が恥じらいの殻を打ち砕き、新しい扉を次々に暴いていく。

 理性が時計に目を向けさせるのに、知ってしまった愛に溺れる好奇心が、豹変した男を受け入れてしまう。

「愛してる。何度でも言うよ。愛してる、翠」

「私も……」

 愛があふれ声にならない。

 二人の吐息が絡み合い、世界が虹色に輝き始める。

 理由なんてない。

 こうなることを望んでいた。

 熱い吐息の輪唱は終わらない。

 窓の外では、月曜日の都会が動き出していた。