オリヴィアが椅子から立ち上がりエドモンドの横に進むと、彼女のレースのドレスは煌めかんばかりの輝きを放ち、その魅力的な肢体の線をしっかりと強調した。
もちろん、その光景はヒューバートの目を存分に楽しませた。
胴にぴったりと張り付いた布は薄く、彼女が腰周りにコルセットを付ける必要がないほどほっそりしていることを証明している。
そして胸元にいたっては……おお、神よ、あなたの恵みに感謝します。
白く柔らかい胸がレース地を押し上げ、今にもこぼれそうにオリヴィアの呼吸にしたがって上下している。
彼女の顔つきは、派手好きのヒューバートからすれば少し大人しすぎる気もしなくはなかったが、繊細なつくりはひじょうに魅力的で、大きな水色の瞳は吸い込まれそうだった。
そして極めつけに、彼女は鈴の音のような声をしていた。
どんな男も降参せずにはいられない種類の、貞淑さと甘さをあわせ持った声。
「こちらこそお目にかかれて幸福です、サウスウッド伯爵」
エドモンドのすぐ横に並んだオリヴィアは、そう言うと膝をかがめて挨拶を返した。
本来ならここで片手を出して口付けを受けるところだが、それは気の早いヒューバートがすでに済ませているので、オリヴィアは頭を軽く下げるだけにとどめた。
その際、柔らかな胸元が高級なプディングのように揺れて……仕立て屋に集まっていた三人の男たちの瞳を大きく見開かさせた。
エドモンドは憤慨していた──これ以上ありえないくらいに。
他の男にオリヴィアを引き合わせると考えただけでも我慢ならないというのに、相手がヒューバート・ファレルというのは最悪だった。くわえて今日のオリヴィアは、忌々しいレースの薄着に身を包んでいて、その純潔が道行く全ての男のものであるかのように愛想を振りまいている。
浮気者で女好きなヒューバートが、こんな格好の獲物を放っておくはずがない。
しかも、長年の宿敵であるエドモンドの妻となれば、これ以上の旨味はないではないか。
とにかくどこでもいい、ここではない何処かへ──それも今すぐ──オリヴィアを追い払わなくては。
そう思ったエドモンドは、オリヴィアを見下ろして厳しい視線を浴びせることで意思表示をしたが、彼女はひるまずにっこりと微笑み返してくるだけだった。
「お知らせが遅れてしまって申し訳ありません、サウスウッド伯爵ヒューバート卿。どうか近いうちに、うちへいらして下さいませ。歓迎いたしますわ」
なんだと!
エドモンドはもう少しでオリヴィアの肩をひっつかんで揺さぶってしまうところだった。
しかし彼女は、言い終わるとエドモンドを見上げて微笑む。理想的な妻、夫の社交を助ける忠実な伴侶……そんなものにオリヴィアがなろうとしているのは、明らかだった。
冗談ではない。そんなものは切り刻んで犬の餌にしてくれる。
今、必要なのは、オリヴィア……その呪わしいほど柔らかい胸を隠して、さっさとカーテンの奥に引っ込むことだ!


