今日まで、エドモンドはこの気取り屋の隣人ヒューバートについて、かなり忍耐強く接してきたつもりだった。
ことある毎に張り合ってくるファレル家の若主人に、バレット家の当主は寛容をもって対処してきていた。──エドモンド三十六歳、ヒューバートはその一つ年下の三十五歳とくれば、幼い頃から比べられ続けたのも自然の成り行きのようなものだ。
そのうえノースウッドとサウスウッドは大昔、人為的に二つに分けられた領地だったから、今も境界線のあたりの所有権を巡って大小のいざこざがある。
特にエドモンドの父が領地の管理を放棄していた十年間、敵の不在をいいことに、ファレル家はやりたい放題だった。
しかし、エドモンドが伯爵として領地を継承してからは、それらの問題について一応の決着がつけられていた。
──そう、エドモンドはファレル家にとって手強い交渉相手だったのだ。
だから数年前、サウスウッド伯爵の地位を得たヒューバートがエドモンドを目の敵にするのも、ある程度は仕方がないことだと思っていて、気に留めてさえいない。
正直なところ、他人が自分をどう思っているかなどエドモンドにはどうでもいいことだった。
特にヒューバートのような頭の軽い男が相手とくれば。
「そちらこそ色々と噂は聞くが、知らせを受け取ったことがないな、ヒューバート」
そう言って、エドモンドは一歩前に進み出た。
都合のいいことに、オリヴィアは自分よりずっと小さいから、そうすることですっかり背後に隠れてしまう。
エドモンドはとにかく早く、オリヴィアをこの場から遠ざけたかった。ヒューバートの好色な視線が彼女を吟味しているのが明らかだったからだ。
領地を争うのはいい。
評判を競うのも、気は進まないが、必要なら受けて立とう。
しかし、オリヴィアを巡って争う気だけはなかった──。彼女は、阿呆な男二人が矜持をかけて争う対象になるような下卑たものではなく、
もっと神聖なもので、
かたくなに護らなければならないもので、
そしてなによりも……エドモンドの妻だった。


