「はぁ!?僕がいつそんなことを…」

「やっぱり遊びだったんだわ!うわぁぁぁあぁぁぁ!!!」

今度は、ルイザから少し離れた場所にいた令嬢が突然突っ伏して号泣し始めた。
さらにその後ろでは、しくしくと泣いている令嬢がいる。

「アルノート様の言葉を信じて許したのに!私…もうどこにも嫁げないかもしれない」

さらにあちこちから令嬢の慟哭の声が聞こえる。
え…もしかして、全員アルと関係のある令嬢なの…?
リリア以外に、アルはこんなにも多くの令嬢と関りを持っていたの?
学業に忙しくて全然気づかなかった…。

「アルノート様…私だけというのも嘘だったんですね?」

リリアが低い声でアルに問う。

「違う!違うんだ!おい!お前らわけのわからないことを言うな!」

泣いている令嬢たちに怒声を浴びせるアル。
当然令嬢たちが泣き止むはずはなく、アルはますますうろたえた。

もうめちゃくちゃだわ…。

私はひどく白けた気持ちになった。
「惚れ直す」という言葉があるけど、「冷め直す」という言葉があるなら、今まさにその状態。
どうしてこんな人のために私は一生懸命努力を続けていたのかしら…。
そして、最もカオスなタイミングで、国王陛下が現れてしまった…。

「こ、国王陛下と王妃陛下のご入場です!!!」

扉番の号令によって、収拾のつかない会場は一気に静まり返る。

「ずいぶんと賑やかだが、今どのような状況だ?」

一見穏やかな、それでいて威厳のある国王陛下の声が静かに響いた。