「どうしてだ…リリア…。僕との結婚を考え直してくれたからパーティーに出席したんじゃないのか…」

アルの発言に、会場は騒然となる。
学生たちは「噂は本当だった」と驚愕し、来賓者たちは突然現れた知名度の低い令嬢と皇太子の恋愛話に驚きを通り越して呆然としている。
アル…自分の立場を完全に忘れているのね…。

「何度も申し上げている通り、私のような下賤の者が王族と婚姻を結ぶなど無理でございます。
なぜこのような仕打ちを私に続けるのですか?
アルノート様のお相手は私だけではないのに、よりによってなぜ私に婚姻を迫るのです?
それとも、他の令嬢にも同じことを伝えているのですか…?」

頭を下げたまま発言するリリア。
え…?アルはあの女一筋じゃなかったの?
他にも関係している令嬢がいるってこと?

「な…何を言っているんだ…」

明らかにうろたえるアル。

「僕には君だけだ」

「酷いですわ!」

今度はリリアを支えているルイザが声を荒げる。

「先ほど私をエスコートしてくださったときに、フェルナンドも由緒ある家柄だから王族との婚姻にふさわしいとおっしゃってくださったではないですか!」

え!?それって、アルがルイザに婚姻をほのめかしたってこと?