悪役令嬢と誤解され王子から婚約破棄を言い渡されましたが私にどうしろというのでしょう?

「安心してください。ユーヴィス家とフェルナンド家がタッグを組めば、王家とはいえ簡単には切り捨てられませんから」

「ダメです!私の問題にフェルナンド家を巻き込むわけにはいきません!
心配していただきありがとうございます。ですが、自分で対処しますので、どうか無謀なことをなさらないでください」

そう。これは私の問題なのだから。
関係ない人に迷惑をかけてはいけない。
さっきはつい弱音を吐いてしまったけど、自分の役割を果たすべきだわ。
アルが婚約継続すると言うなら、それに従うのが私の義務ですもの…。

「ジェリーナ様。1人で全て背負わなくていいのですよ。
1人でできることなどたかが知れています。
国家も同じです。1人1人がそれぞれの役割を担いつつ、お互いを助け合って成り立っています。
最悪の事態を避けるためにも、人に頼ることは大切です。
私やルイザでは頼りないかもしれませんが、どうか甘えていただきたい」

甘える…?
そんなことをしてもいいの…?
私、ずっと甘えるなって言われてきた。
自分のことは自分で責任を持つのが淑女だと教えられてきたのに…。

「やっぱり甘えるなんてできません…」

私はゆるゆると首を振った。

「では、甘えるのではなく私たちを利用してはいかがでしょうか。
卒業パーティーを欠席するわけにはいかないのですから、せめて私にエスコートさせてください。
ルイザはジェリーナ様が貧血を起こされたと伝えているはず。1人で入場するのはあまりにも不自然です」

もう一度カルシスを見た。
カルシスは優しい目で穏やかに微笑んでいる。
ルイザの目の輝きと同じだった。
よく似てる兄妹ね…。

ルイザの優しさを思い出し、カルシスを信頼していいのではないかと感じた。
確かに、卒業パーティーを欠席するわけにはいかない。
入場するときだけ…甘えてもいいのかな…。

「お願いしますわ…」

私はなぜか恥ずかしくて俯いたまま返事をした。