悪役令嬢と誤解され王子から婚約破棄を言い渡されましたが私にどうしろというのでしょう?

「ジェリーナ様はどうなさりたいですか?
このままアルノート様と婚約を受け入れる?それとも…」

そう言って、カルシスは言葉を途切れさせた。
思わずカルシスを見ると、問いかけるような視線を注がれる。

私はどうしたいの…?
アルのことはずっと好きだった。
だからたくさん努力した。
それなのに、アルはあの女を選び、私を冷たく見据えて悪女だと言い放った。

私の好きだったアルはもうどこにもいない。
このままだと愛のない政略結婚になってしまう。

私は愛情を一切向けられず、それでも皇后としての役目を果たさなければならない。
今のアルなら、また別の女性を好きになって側室に迎えるかもしれない。
私以外の女に愛情を全て注ぎ、私はそれを見ながら義務だけを果たすことになる…。

「耐えられない…」

アルのことが好きだったからこそ耐えられない…。

「彼との結婚は…もう無理です…」

本音が口からこぼれた。

「承知いたしました」

カルシスは力強く頷く。

「ならば、ジェリーナ様の願いを叶える手助けをさせていただきます。
私がエスコートしますので、一緒に会場へ行きましょう」

「え…?カルシス様はルイザ様をエスコートするためにいらっしゃったんですよね?」

思わず聞いてしまう私。

「そのルイザがいないのです」

「どうしてですか?」

「実は、ルイザはアルノート様と入場しました」

「ええ!?」

どういうことなの!?