「私も行きますわね…。
婚約破棄の話は、すべてアル…ノート様が方々に説明なさってください」

ジェリーナ、君も僕を見捨てるのか…。
僕はこの先どうすればいいんだ…。

「さよなら…」

そして、部屋には僕とブライが残された。
史上最強に気まずい空気が部屋の中を漂っている。

ブライ…リリアが好きな男…。

ブライを見ると、バチッと目が合った。

「も、申し訳ございません…!!!」


ブライが顔を床にこすりつけるように土下座をする。
何のための謝罪だ?
リリアとジェリーナのやり取りを誤解して僕に伝えたことに対しての謝罪か?
それとも、僕が好きなリリアに惚れられてしまったことへの謝罪か?
僕は益々惨めになった。

「はぁぁ…」

大きな大きなため息が出た。
こんな気分で、これから卒業パーティーに出なければならないのか。
本来なら、ジェリーナに婚約破棄を告げて、リリアをエスコートしながら夢のように幸せな気分で出席するはずだった卒業パーティーに。

リリアとジェリーナはどうするのだろうか…。

リリアは…卒業パーティーは欠席するかもしれない。
相当取り乱していたし、僕を恐れて逃げ出したようなものだ。
僕がリリアに危害を加えるはずがないのに。

ジェリーナは…彼女は真面目だから、卒業パーティーに出席するだろう。
国王と国賓を無下にするような行いをするはずがない。

では、僕はどうするべきだ?

ブライはずっと土下座をしたままだ。
君はいいよな。
そうして、僕の指示を待っていればいいのだから。
リリアがブライを絶賛していたが、この姿を見たらどう思うだろうな…。