ブライがリリアに辛く当たるジェリーナを目撃したことを伝えても、まだ白を切るジェリーナ。
改めて婚約破棄すると伝えると、今度は開き直ったようだ。

「わかりました。好きにしてください。
でも、婚約破棄に関する手続きは全てあなたにやっていただきます。
私は金輪際、あなたの婚約者としての努力を全て放棄させていただくわ。
関係各所の説明は、あなたからお願いします」

「なに!?」

「当然ですよね。あなたの希望で私は一方的に婚約破棄されるのですから」

全く、開き直り方も可愛くない。

どうしてジェリーはいつもそうなんだ!?
どうして僕に挑戦的なんだ!

いつだって僕より前を歩き、振り向いては手を差し伸べず「ちゃんとしろ」と僕を責める。
僕は叫びたくなるのをぐっと抑えて吐き捨てるように言った。

「…いいだろう。全部僕がやってやる。だから今すぐ僕の視界から消えろ」

そこへ仲裁に入ったのは、またもやリリアだ。
彼女は心配そうな表情で、それでも僕とジェリーナの仲を必死に取り持とうとしている。
婚約破棄するにしろ、喧嘩別れのような形は確かに後味が悪い。
これからの後始末を考えると頭も痛くなるほどだ。
本当なら穏便に話を進めて、なるべく傷つけないようにしたかった。
それを台無しにしたのはほかでもないジェリーナだ。

「君は何も心配しなくていい。僕が守るし、苦労しないで済むように根回しするから」

僕はリリアを抱きしめた。