悪役令嬢と誤解され王子から婚約破棄を言い渡されましたが私にどうしろというのでしょう?

だけど、年々ジェリーナはとげとげしくなっていく。
子供のころは愛らしく良く笑っていたのに、僕に殆ど笑顔を見せなくなった。
それどころか、あれこれと口うるさく注意してくる。
正式の場でもないのに、ジェリーナは常に僕に対して王族としての品位と振る舞いを求めるようになってきたのだ。

学園の行事準備の際、誰もいない部屋でほんの少しだけ「疲れた。早く休みたい」と言った時には、「この程度で疲れていては、公務に支障が出ます」と言われてしまった。
それだけではなく、「毎日トレーニングして体力強化しましょう」と提案までされてしまった。
僕はただ、ちょっと弱音を吐きだしたかっただけなのに。

ジェリーナはいつの間にか、僕に対して常に厳しい態度で接するようになっていた。
ジェリーナは泣き言も弱音も愚痴も一切受け入れない。
常に最高の努力を求めてくる。
僕はいつしか、ジェリーナと過ごすと酷い息苦しさを感じるようになった。
一緒にいると、ただただ辛かった。

そんな時だ。リリアを見つけたのは。
すごく可愛らしい笑顔で、挨拶をしてくれた。
3年間同じ学園で過ごしてきたのに、リリアのことを今まで全く気にも留めていなかった。存在すら認識していなかった。
彼女は突然僕の前に現れたように思えた。

リリアに興味を持った僕は、積極的に話しかけはじめた。
リリアはジェリーナとは全く違い、僕の話をひたすら聞いてくれた。
そして、「大変ですね」と労ってくれた。
僕の心はリリアに癒された。