私は頭を抱えた。
もうダメなのか…。
本当のことを言わないと、収拾つかないのか…。
仕方ないのか…。
私は覚悟を決めた。

「わかりました。白状します。白状するので、どうか考え直してください。
それから、私の答えで誰かに不利益が起こらないようにしてください。お願いします」

「ですから、私にはあなたのお願いを聞く筋合いなどございません」

とりあえず、ド真面目女の問題は先送りにして、アホ王子に真実を伝えなければ。
私はアホ王子に向き合った。

「アルノート様…。私が好きなのは…実は…ブライ様だったんです」

「えええええ!!!!!?!?!?」

叫んだのはアホ王子ではなくブライ様。
そーなんです!あなたですよ!あなた!

「ブライ様のスマートな仕草やいつも冷静で適切な行動をとられるところに魅かれて、ひっそりと片思いしていました。
でも、やっぱり身分が違いすぎますから、ご挨拶させていただく程度のささやかな交流を日々の楽しみにしていたんです。
やっぱり、好きな人には可愛いって思われたくて、ブライ様に会える日だけ、オシャレに気合入れたりしてました」

「そ、それは…えーと…」

ブライ様はオロオロ。

あ、ヤバイ。
アホ王子がすっごい目でブライ様を見てる。

「それがいけなかったのか…アルノート様の目に留まってしまった次第です。
私、自分で言うのも何なんですけど、低身長童顔巨乳っていう、ある種の男性からものすごい好かれる外見なんです。
だから、バレないようにずーっと地味にしてたんですけど、ブライ様だけには可愛く見てほしくて頑張ったら、全然違う人に好意を寄せられてしまって、しかもそれがこの国の王子っていう…。
『ヤバイ』って思ったときにはもう遅くて、身なりを地味に直したのに、アルノート様から声をかけられることが増えて、必死で逃げてたんですけど、逃げきれずこんな事態になってしまって…」

これが真実だった。

ああ…、言っちゃった。
どうか、アホ王子が血迷ってブライ様に危害を加えませんよーに!