悪役令嬢と誤解され王子から婚約破棄を言い渡されましたが私にどうしろというのでしょう?

ド真面目女は呆然と立ち尽くす。
酷い扱いを受けてきたのはこっちの方だよ。

「どうして…?
どうして?ねぇアル、私があなたに何をしたと言うの?
あなたのために、国のため、ずっとずっと頑張ってきたのに…。
なんでこんな仕打ちをするの?
なんでこんな、品も学もない子に夢中になってるの?
騙されてるって、わからないの?」

ちょっと!
ここまで説明してるのに、まだ私がアホ王子をたぶらかしてると思ってるの!?
ビックリなんですけど!

「だから、騙してないです。
それに、私から見たらジェリーナ様の方がずっと理解不能です。
アルノート様のためって本当ですか?
それが真実なら、なんでもっと優しくしてあげないんですか?
寄り添って支えてあげればいいのに。
否定から入られたら、そりゃ心折れますよ」

この人に言っても伝わらないと思うけど、それでも言わずにはいられない。

「あなたに何がわかるの!?」

ものすごい憎悪のこもった目で、ド真面目女は私を睨みつけてきた。

「国を背負うものが、そんな弱気でどうするんですか?
あなたにわかってもらわなくて結構ですけど。
責任がない立場の者が、私に意見しないでくださる…?
あなたは愛想を振りまいていればいいだけですもの。お気楽ですわよね」

愛想って…。
お気楽って…。

やっぱりそういう解釈ですか。
この人とは根本的に思考も思想も違うんだな。