悪役令嬢と誤解され王子から婚約破棄を言い渡されましたが私にどうしろというのでしょう?

「その、理路整然と正論を振り下ろすところ!
それが自分の役目だと言わんばかりの上から目線!
ついでに言うなら、努力で自分を正当化する姿勢!
そんなだから、アルノート様にそっぽ向かれるんですよ!」

「な、なんですって…!私にそんなつもりはございませんわ」

「じゃあ、どんなつもりなんですか?」

「答える義務はありませんけど、教えて差し上げますわ。
私はあなたには想像できない程、日々勉強に尽力しておりましたの。
努力の正当化ではなく、努力の積み重ねによる当然の結果です。
アルの伴侶となって、この国を支えるべき者の義務として、血のにじむ努力を続けてまいりましたわ。
上から目線ではなく、ただ事実を述べているだけです」

ほらやっぱり。
この人本気でわかってない。
自分の態度がアホ王子をどんなに追い詰めていたか。
このカップル、結局どっちもどっちなのか…。
あまりの救えなさに絶句してしまった。

「あなたは私のように努力をしたことがありまして?
いきなりキレるとは、なんて野蛮なのでしょう。
そのような姿勢で何を言っても、心に響きませんわ」

勝ち誇った笑みを浮かべるド真面目女。
ダメだこりゃ。

「はぁ…」

大きなため息をつくと、ジェリーナ様の表情が一変する。

「努力って、言われたことをやっていただけじゃないですか。
それってまるっきりの受け身ですよね?
それとも、能動的な努力をしたんですか?
そもそも、ジェリーナ様はアルノート様を愛しているんですか?
さっきから、義務とか努力とか、そんなんばっかり。
どこまでプライド高いんですか?」

素朴な感想と疑問をぶつけてみた。
ジェリーナ様を怒らせることはわかっている。
わかっているけど、それでも言わずにはおれない。