悪役令嬢と誤解され王子から婚約破棄を言い渡されましたが私にどうしろというのでしょう?

「…いいだろう。全部僕がやってやる。だから今すぐ僕の視界から消えろ」

「だから、ちょっと待ってくださいってば!」

断腸の思いでアホ王子に駆け寄り、すがるように訴えた。
駆け寄ってそのままジャンピングキックしたい欲求を抑えた自分を誰か絶賛して!

「アルノート様、私はあなたの婚約者の器じゃありません。
それに、何度も言っているように、ジェリーナ様から何も言われていません。
ジェリーナ様がおっしゃっているように、図書館では私が勝手に言葉をかけただけです!」

「そんなに怯えなくていいんだよ。リリア、本当のことを言ってくれ」

ダメだ…目がイっちゃってる…。
でも諦めない心!

「ですから、今申し上げたのが真実です!!」

「リリア様。もうお芝居はされなくても結構ですわ。アルは私ではなくあなたと婚約すると決めたのですから。
自分の思惑通りに事が運んで、さぞ嬉しいでしょうね」

ひえぇっ!
ジェリーナ様が憎悪のこもった目で私を見ている…。
恐い…けど、それでもあきらめない心再び!

「だから、違いますって!
ブライ様も何とかおっしゃってください。アルノート様とジェリーナ様を止めてください!!」

最後の頼みの綱であるブライ様に私は助けを求めてみた。

「いやえとあの…」

はいダメーーー!
こいつもアホダメーーー!
主従そろってアホアホーーー!
その事実を知った時の落胆を、再び思い出して泣きたいです!

「早く部屋から出て行け。リリアがかわいそうだ」

諸悪の根源はおまえだよっ!

「わかりました。それでは2人とも、末永くお幸せに」

いやっ!ダメです!
私を見捨てないでジェリーナ様!
私はあわててドアに立ちはだかり、ジェリーナ様の退室を阻止した。