悪役令嬢と誤解され王子から婚約破棄を言い渡されましたが私にどうしろというのでしょう?

「そんなことありませんわ!ジェリーナ様は勤勉で誠実で素晴らしい女性です!
アルノート様をお支えするのは、ジェリーナ様以外に考えられません!」

渾身の想いで力説する私。
実際、ジェリーナ様は勤勉で聡明な人格者。
確かに自分にも人にも厳しいところがあるし、アホ王子がトチ狂ってる分フォローの仕方はスパルタだけど、そうじゃないとこの国は沈む。

アホ王子、いい加減自分の力量と現実を知れ!

しかし、なぜかアホ王子は瞳をキラキラさせて私を見ている。

「本当に君の優しさは素晴らしいよ、リリア。
でも、ジェリーナにそう言えと命令されているのはわかってる。
もう、嘘をつかなくてもいいんだよ。僕が守ってあげるから」

再びズコーーーーー!!!!!
もーいやっ!

「ジェリーナ。君はリリアの人の良さに付け込んで、随分と酷いことばかりを命令していたのだろう?全く軽蔑するよ」

この人の頭の中どうなっちゃってるの!?
私、アホ王子に「ジェリーナ様に命令されてるんですぅ」なんて言ったことないぞ!
実際命令されたこと一度もないし!
っつーか、接点がないし!
まだそんな妄想の世界にいるわけ!?

「違います!命令なんて、私は一度もされたことありません!」

全!力!否!定!

「いいんだ。わかってる。君は安心して」

ぎえぇぇぇぇぇぇ!!
慈悲深い王子みたいな顔で私を見るなー!