悪役令嬢と誤解され王子から婚約破棄を言い渡されましたが私にどうしろというのでしょう?

「ちょっと待ってください。アルノート様」

しかし、私が立ち去る前にリリアが声を上げた。
この子、一体何を言うつもりなの?

「本当にそれでいいのでしょうか?」

ウルウルとした瞳でリリアはアルを見つめる。
急に2人だけの雰囲気を醸し出したアルとリリア。

「リリア。君はとても優しいね。
でも、ジェリーナが如何に冷たい女かこれでわかっただろう?
婚約破棄を言い渡しているのに、表情1つ変えない。なんて冷酷なんだ…」

リリアに向ける視線とは真逆の、凍るような冷たい視線を私に向けるアル。

この人…、私のことそういうふうに見てたのね…。

「そんなことありませんわ!」

アルの言葉を否定したのはリリアだった。

「ジェリーナ様は勤勉で誠実で素晴らしい女性です!
アルノート様をお支えするのは、ジェリーナ様以外に考えられません!」

熱弁するリリアを、アルは感動の眼差しで見ている。

「本当に君の優しさは素晴らしいよ、リリア。
でも、ジェリーナにそう言えと命令されているのはわかってる。
もう、嘘をつかなくてもいいんだよ。僕が守ってあげるから」

は?

「ジェリーナ。君はリリアの人の良さに付け込んで、随分と酷いことばかりを命令していたのだろう?全く軽蔑するよ」

え?え?
アルは一体何を言っているの?
私はリリアと殆ど言葉も交わしたことがないのに…。
アルが婚約破棄したがっているのは、リリアに夢中で判断力麻痺状態だからだと思っていたんだけど、違うの?