悪役令嬢と誤解され王子から婚約破棄を言い渡されましたが私にどうしろというのでしょう?

「よく来てくれたね。ジェリーナ。話はすぐに終わるが、とりあえず座ってくれ」

アホ王子はどこまでもエラソーだ。
ああ、なぜこんな人に目をつけられてしまったんだろう。
改めて自分の不幸を呪いたい。

ジェリーナ様は無言でソファに座る。
アホ王子もジェリーナ様の向かいのソファに腰を下ろした。

「リリア、おいで」

げげん!
行くわけないじゃん!

「いえ…私はこちらに…」

顔を引きつらせながらブライ様の横に避難する。
アホ王子は不満げだけど、知ったこっちゃない。
無視!

うっわー…、ジェリーナ様の顔超こわいよー…。

「ジェリーナ。僕が何を話そうとしているか、心当たりはあるか?」

こいつアホ!どうしようもないアホ!
呼び出しといて、何もったいつけてんの?
っつーか、ジェリーナ様は何も悪いことしてないんだから、心当たりあるはずないじゃん!

あ…、でも噂は耳に入ってるよね…。
私のこと、超悪い女だと思ってるんだろうな…。
ジェリーナ様は無言だ。

「何も言わないってことは、やっぱりあるんだな」

すっげーぞ!こいつすごすぎるぞ!
これは無言の非難と抵抗でしょ!?
それ、わからないんだー、やっぱりアホだからー…。
アホ王子から見たら、ジェリーナ様は図星さされて絶句しているように見えるんだろうな。
何をどうしたら、ここまで自分の都合良く全てを曲解できるんだろうか…。

「やはり、僕の判断は間違っていないようだ。単刀直入に言おう。君との婚約を破棄する」

…………………は?

…うそでしょ…?

何の説明もなく婚約破棄とか言っちゃう?
まさか、本気で恋愛小説のネタを地で行くつもり?
っつーか、アホ王子とジェリーナ様の婚約って、政治政策であり王命でもあるよね?