「なぜ、私がそうしなければなりませんの?
そちらの都合にこれ以上合わせろとおっしゃるのですか?
あまりにも横暴ではありませんか?」

「ジェリーナ様…」

「私は1人で行きますから、どうぞアルノート様もご自由になさってくださいとお伝えください」

「そういうわけには…」

「リリア様はどうなさったんですの?」

「あのまま姿を消しました…」

「まさか、彼女の代わりを私にしろと?
バカにするのも大概にしていただきたいですわ。
さようなら」

私はくるりと回れ右をして、そのまま来た道をスタスタと歩き出した。
ブライは追ってこない。

ああ、本当に頭にくるわ!
でも、今は怒っていた方がいいのかもしれない。
その方が、涙が出てこないもの。

とは言え欠席というわけにもいかないし…。
遅刻するわけにもいかないし…。
とりあえず、アルを回避してどうにかして会場入りするしかないわ。

私はその後辺りを見回しながら、こそこそと会場に入るチャンスをうかがっていた。
ものすごく惨め。
これも全て、アルとリリアのせいだわ!
もう、二度と言葉をかわすものですか!!!

強い決意と怒りが今の私を支えていた。