悪役令嬢と誤解され王子から婚約破棄を言い渡されましたが私にどうしろというのでしょう?

「ジェリーナ。僕が何を話そうとしているか、心当たりはあるか?」

私は無言。
あえての無言。
話があると呼び出されて来ているのに、なぜすぐ本題に入らず私を詰問しようとするの?

「何も言わないってことは、やっぱりあるんだな」

勝手に納得するアル。

「やはり、僕の判断は間違っていないようだ。単刀直入に言おう。君との婚約を破棄する」

…………………は?
…うそでしょ…?

なに?この展開。
まさか、本気で恋愛小説のネタを地で行くつもりなの?
冗談が現実になったような衝撃を受けた。

「話はそれだけだ。もう部屋から出て行ってくれ」

再び、は?
人を呼び出しておきながら、一方的に結論を伝えて、説明もなく出て行けと言うの?
アルはこんなに勝手な人だった?

まさか、こんなに一方的に、何の説明もなく話を切り上げようとされるだなんて…。
しかも、国を揺るがしかねない第一王位継承者の婚姻問題を独断で決定して内々で伝えるって…。
アルはそこまでリリアに本気なの?
恋しておかしくなってしまったの?

あまりの展開に、怒りと悲しみが同時に押し寄せてきた。
大変…、私、自分を保っていられないかもしれない…。
我を忘れる前に、とにかく無言のままこの場から去ろうと立ち上がった。
このままじゃ、醜態をさらしてしまうわ…。