悪役令嬢と誤解され王子から婚約破棄を言い渡されましたが私にどうしろというのでしょう?

ふわっ。

え?何?

ルイザが私を抱きしめている。
彼女は私より少し背が低いのに、まるで包み込まれているような包容力を感じた。

「何があったか存じませんが、無理なさらないでください。
私、何もできませんし、ジェリーナ様のお気持ちを理解するなんて恐れ多いこともできませんけど、同じ学園に通う友人として助けてあげたいと思っております。
ですから、どうか頼ってくださいませ」

もうダメ…。
私はルイザに縋るようにして泣いた。
ルイザは何も言わずに私の背を優しく撫でてくれる。

辛い…苦しい…。
王子の婚約者としてのスイッチは完全にOFFになり、私はひたすら泣いた。
こんなに泣くのは、一体いつぶりだろう。
子供のころから私はずっと泣いてはいけないと思っていたから、記憶の中に泣いている自分はいない。

しばらく泣くと、少し冷静さが戻ってきた。
すると、とたんに恥ずかしくなる。
私、いい年して人に縋って泣くなんて、なんて醜態をさらしてしまったんだろう。
本当に恥ずかしい…。

「ごめんなさい…。もう、大丈夫ですわ…」


私はパッとルイザから離れた。
彼女は優しい瞳で私を見ている。

「私でよろしければ、いくらでも胸を貸しますよ」

彼女は華奢な体形だけど、言葉と立ち姿に将軍の貫録を見たような気がした。
彼女にも代々将軍のフェルナンド家の血はしっかり受け継いでいるみたいね。

「愚痴とか、不満とか、泣き言とかあったら言ってください。
人に話すだけで、随分と気持ちが楽になるものです。
ジェリーナ様は少しがんばりすぎです」