悪役令嬢と誤解され王子から婚約破棄を言い渡されましたが私にどうしろというのでしょう?

「大丈夫ですか?」

「!」

突然声をかけられて、ものすごく驚いた。
誰もこないと思っていたから、安心して泣いていたのに。
反射的に顔をあげると、ルイザ=フェルナンドがいた。

ルイザは私の一族と同じく、古くから王族の側近として仕えている公爵家だ。
ユーヴィス家が参謀で、フェルナンドは将軍の役割を担っている。
今日のルイザはラベンダー色のドレスを着ている。
彼女にしては珍しくプリンセスラインで、小さな宝石がドレス全体にあしらわれていて、キラキラと輝いていた。
下ろされたストレートの黒髪とドレスが対照的で、それが華やかさを演出している。

「ジェリーナ様…どうされたんですか?」

私の顔は当然涙でぐちゃぐちゃで、ルイザは動揺しているみたい。

いけない。
こんな顔を人に見られるなんて。

慌てて涙をぬぐって立ち上がる。

「なんでもございませんわ。少し気分が悪くて休んでいただけです」

人前ではいつでも冷静で穏やかに…。
カチッと私の中でスイッチがONになる。

「そんな、なんでもないわけないじゃないですか。
ジェリーナ様が泣かれるなんて、相当お辛いのでしょう?
私がつきそいますから、どうか部屋で休まれてください。医務室にいきましょう」

ルイザとは家を通しての付き合いはあるものの、特別親しいわけではない。
だけど、思いのほか優しい言葉をかけられて、また涙が溢れそうになった。
ダメ。しっかりしなきゃ!