悪役令嬢と誤解され王子から婚約破棄を言い渡されましたが私にどうしろというのでしょう?

「アルノート様が私に抱いている天使のような女の子は、演技でしかありません。
私に国を背負う能力も根性もないばかりか、アルノート様を優しく癒し続ける愛情もないんです。
私にあるのは、ただただこの事態を回避したいという打算です。
私の願いは、アルノート様とジェリーナ様の婚約継続のみなんです」

「リ…」

「ふざけないでくださる!?」

アルの言葉を遮って、私は叫んだ。

「こんな侮辱は人生初めてですわ!
なぜ、他の女性を愛している人と結婚しなければならないんですの!?
しかも、婚約破棄を言い渡されているのに!
これまでの努力も踏みにじられて!」

「そりゃそうですけど!
でも、私だって困ってるんです!
もっともっと、ジェリーナ様が上手にアルノート様を支えてくださればって何度思ったことか!
ジェリーナ様は自分に全く非がないみたいな言い方してますけど、婚約者同士なんでしょう?
関係が上手くいかない原因が、自分にも少しくらいあるって考えないんですか?
もっと優しくすれば良かったとか、アルノート様のプレッシャーと孤独に気付いてあげられなかった自分を責めたりとかしないんですか?」

「お、お黙りなさい!」

「今更黙っても、私への心象はとっくに最悪でしょうから黙りません!
それが受け身だって言うんですよ!
アルノート様のことが本当に好きなら、もっと自分から行けばいいじゃないですか!
言われたことだけこなして、肝心のアルノート様には厳しく接して、それで愛してもらおうなんて虫が良すぎですよーだ!」

「……!!」

もう、怒りで声が出ない…。