悪役令嬢と誤解され王子から婚約破棄を言い渡されましたが私にどうしろというのでしょう?

「だから、目立たないように必死に影を薄くして、平和な学園生活を送ってきたんですよ。
髪型もドレスも地味にして、隅っこの方でひっそり過ごしてきました。
それなのに、なぜかアルノート様に目をつけられてしまって、マジ焦りましたよ」

「あなた…何を言っているの…?」

「ジェリーナ様のために、率直に事態を説明します。
地味に生きてきた私にアルノート様が勝手に惚れてしまい、妄想勘違いの暴走した挙句、ジェリーナ様と婚約破棄して私と結婚するって勝手に言い出してるだけなんです!」

な、なんてこと…。
この子、もしかして責任逃れしようとしているの?
そうに違いないわ。
なんてひねくれた悪女なのかしら…。

「待ってくれリリア!それはどういうことだ!?」

アルが声を上げた。

「そーいうことです!
最初から言ってるじゃないですか。『とんでもございません』『滅相もございません』『アルノート様にはジェリーナ様がいらっしゃいます』『恐れ多いです』って!」

「それは君がジェリーナに気を遣っているからじゃ…」

「違います!」

全力否定のリリア。

「じゃあ、どうして『嫌だ』と言ってくれなかったんだ…」

「言えます!?言えるわけないじゃないですか!
私はド田舎領主の娘ですよ!王族のアルノート様から何か言われたら、問答無用で二つ返事で応じなきゃならない立場ですよ!?絶対服従的地位の差があるんですよ!
自分が誰を好きとか関係なく、求められたのに応じず逆らったら、怒りを買って何されるかわからないじゃないですか!
アルノート様の一言で、うちの家なんて吹っ飛びますから!
だから、嫌と言えず、必死に別の言葉でなんとかこの事態を穏便に回避しようとずーっとずっと頑張っていたんです。
全然通じませんでしたけど!」

「そ、そんな…」

アルは傷ついて泣きそうな顔をしている。

え?ちょっと待って。
こんな無礼な発言されて怒らないの?