そうして始まった4人との学校生活は、意外にも順調だった。
勉強もスポーツも涼しい顔してこなしてしまう4人にはクラスメイトはもちろん、先生も一目置いている。
たとえば英語の授業中は……
「……おや? すみません、先生。その単語、スペルが違っているようですが……」
「ええっ? あらやだ! 時雨くんたらよく気がついたわね」
「いえ。たまたまですよ」
時雨さんは特に頭脳面がピカイチのようで、どの科目でもまだ習っていない範囲までカバーする博識っぷりを見せつけてくれた。
しかもそれを鼻にかけることのない謙虚な姿勢は、先生からも評判が高い。
そして勉強では時雨さんに負けていないのが八雲くんだ。
「……待って。そのビーカーの中身は直接嗅いだらだめだよ」
「えっ? あ……そうか。先生が言ってたやつかー。ありがとな」
「ううん。何事も起こらなくて良かった」
慎重を期す八雲くんは、順序だてて計画通りに遂行する物事にとても向いている。
普段は集団の中で静かにふるまっているけれど、理科の実験や調理実習では全体に目を配ってテキパキと指示を出すリーダーシップを見せてくれた。
ところ変わって、グラウンドで女子の黄色い悲鳴をかっさらうのが鳴神と晴人の運動神経抜群コンビだ。
「ねえねえ、鳴神くんはいつ走るの?」
「えっ? もう走ったんじゃないの?」
「違うわよ。この次のレーンに並んでるの見た……あれ?」
男女別に別れている体育では、自分たちのハードル走そっちのけで女子がわんさと鳴神目当ての応援席を作るのがお馴染みの光景になっている。
けれど、当の本人はそんなのちっとも気にしていないようで、淡々と光の速さでグラウンドを駆け抜けていくのだ。
「あ、天野鳴神……お前、走るたびに記録更新してないか?」
「そっすか。まあ、今日の俺は昨日の俺より速いんで」
「待て待て待て、このまま毎日計測していったらお前はそのうち光の速さで走ることになっちまうぞ」
「ははっ、先生すげぇ。俺の正体見抜いてるんすか」
体育の先生がストップウォッチと記録用紙片手に目を丸くしては感嘆の溜息を漏らしている。
ここまで真っ正直に正体をバラしているのに先生は届かない。冗談だと思われているだろう。
……まあ、確かに光の速さなんですけど。カミナリなので。
そして体育館でのバスケは晴人の独壇場だ。
「戻れーっ、晴人が来るぞ!」
「練習通り位置につけ! なんとしても晴人を抑えるんだ!」
ドリブルの音が速くなる中、キュキュッと床を鳴らして敵チームが複数で晴人をマークする。
「っしゃあ、出迎えごくろーさん! 俺の晴れ姿、見とけよー!」
笑顔で彼らを見渡した晴人は力強く床に踏み込み、次の瞬間、高く跳んだ。
ぴんと伸ばされた腕から放たれたボールが、太陽のようにきらめきながらゴールに吸い込まれていった。
「やりぃ!」
「うおお晴人ぉぉぉ!!」
「お前はやってくれる男だと思ってたぜー!!」
「ちっくしょおお敵ながら天晴れだコノヤロー!」
敵チームの防戦をあっけらかんと真正面から打ち倒してゴールを決める晴人には、チームメイトからの雄叫びとハイタッチが拍手のように降り注いだ。
てるてる坊主から人の姿になって1週間も経っていないのにこの馴染みっぷり。
私より青春を謳歌している気がするんだよね。
男女問わず人気者な4人には、いつも尊敬や好奇、嫉妬に憧れ……いろんなひとからいろんな視線が向けられている。
私だったらそれだけで疲れてしまいそう。
勉強もスポーツも涼しい顔してこなしてしまう4人にはクラスメイトはもちろん、先生も一目置いている。
たとえば英語の授業中は……
「……おや? すみません、先生。その単語、スペルが違っているようですが……」
「ええっ? あらやだ! 時雨くんたらよく気がついたわね」
「いえ。たまたまですよ」
時雨さんは特に頭脳面がピカイチのようで、どの科目でもまだ習っていない範囲までカバーする博識っぷりを見せつけてくれた。
しかもそれを鼻にかけることのない謙虚な姿勢は、先生からも評判が高い。
そして勉強では時雨さんに負けていないのが八雲くんだ。
「……待って。そのビーカーの中身は直接嗅いだらだめだよ」
「えっ? あ……そうか。先生が言ってたやつかー。ありがとな」
「ううん。何事も起こらなくて良かった」
慎重を期す八雲くんは、順序だてて計画通りに遂行する物事にとても向いている。
普段は集団の中で静かにふるまっているけれど、理科の実験や調理実習では全体に目を配ってテキパキと指示を出すリーダーシップを見せてくれた。
ところ変わって、グラウンドで女子の黄色い悲鳴をかっさらうのが鳴神と晴人の運動神経抜群コンビだ。
「ねえねえ、鳴神くんはいつ走るの?」
「えっ? もう走ったんじゃないの?」
「違うわよ。この次のレーンに並んでるの見た……あれ?」
男女別に別れている体育では、自分たちのハードル走そっちのけで女子がわんさと鳴神目当ての応援席を作るのがお馴染みの光景になっている。
けれど、当の本人はそんなのちっとも気にしていないようで、淡々と光の速さでグラウンドを駆け抜けていくのだ。
「あ、天野鳴神……お前、走るたびに記録更新してないか?」
「そっすか。まあ、今日の俺は昨日の俺より速いんで」
「待て待て待て、このまま毎日計測していったらお前はそのうち光の速さで走ることになっちまうぞ」
「ははっ、先生すげぇ。俺の正体見抜いてるんすか」
体育の先生がストップウォッチと記録用紙片手に目を丸くしては感嘆の溜息を漏らしている。
ここまで真っ正直に正体をバラしているのに先生は届かない。冗談だと思われているだろう。
……まあ、確かに光の速さなんですけど。カミナリなので。
そして体育館でのバスケは晴人の独壇場だ。
「戻れーっ、晴人が来るぞ!」
「練習通り位置につけ! なんとしても晴人を抑えるんだ!」
ドリブルの音が速くなる中、キュキュッと床を鳴らして敵チームが複数で晴人をマークする。
「っしゃあ、出迎えごくろーさん! 俺の晴れ姿、見とけよー!」
笑顔で彼らを見渡した晴人は力強く床に踏み込み、次の瞬間、高く跳んだ。
ぴんと伸ばされた腕から放たれたボールが、太陽のようにきらめきながらゴールに吸い込まれていった。
「やりぃ!」
「うおお晴人ぉぉぉ!!」
「お前はやってくれる男だと思ってたぜー!!」
「ちっくしょおお敵ながら天晴れだコノヤロー!」
敵チームの防戦をあっけらかんと真正面から打ち倒してゴールを決める晴人には、チームメイトからの雄叫びとハイタッチが拍手のように降り注いだ。
てるてる坊主から人の姿になって1週間も経っていないのにこの馴染みっぷり。
私より青春を謳歌している気がするんだよね。
男女問わず人気者な4人には、いつも尊敬や好奇、嫉妬に憧れ……いろんなひとからいろんな視線が向けられている。
私だったらそれだけで疲れてしまいそう。


