てるてる坊主を作っただけなのに、お天気男子の溺愛が止まらないのですが!

「鳴神っっ! マラソン大会中止だよっ!」

 嬉しすぎて思わず抱きついてしまう。
 
 鳴神が「うおっ」と慌てて抱きとめてくれたのをいいことに、私はテンションのおもむくままに鳴神にしがみついた。

「鳴神〜! ほんとにほんとにありがとうっ! 夢みたいだよ。鳴神って神様?」
 
「や、お前、顔、近……っ」
 
 鳴神が慌てふためいているのが面白くて、背中に腕を回して足をじたばた動かす。

 
 はしゃぎすぎ?
 そんなの仕方ないじゃない!

 
「御空ー、お前がマラソン大会嫌いなのはよーくわかったから天野くんを解放してやれ。あとさっさと教室に入れ」
 
 先生にファイルの背表紙でぽんぽんと肩を叩かれて、はたと我に返る。
 頬を真っ赤にした鳴神の顔が思ったよりも近くにあって、慌てて飛び退いた。
 
「ひええ!? な、鳴神近いよ!」
 
「お前が抱きついてきたんだろーが!」
 
 頭から湯気を噴きながらわめく鳴神と、それをまあまあと宥める晴人。
 
 そっか。確かに私が抱きついたんだった。
 でも……嬉しかったんだもの。
 
「ななみさん、教室に入りましょう」
 
 時雨さんが後ろのドアを開けて、エスコートするように手のひらで導いてくれる。
 
 転校生設定がなぜか通用してしまっているとはいえ、時雨さんみたいな大人のひとをクラスメイトと呼んでいいのだろうか?
 
 そう考えながら教室に入ろうとすると、一番近くに寄った瞬間、時雨さんが肩に触れてきた。