ど、どうしよう。
頬を掴まれてた時より、ただ柔らかく触られてる今の方がドキドキする。
皮膚の表面がぴりぴりしてむずむずして落ち着かなくて……
はっ、これってもしかして……
肌荒れ!?
鳴神、もしかして静電気出してる?
だとしたら……
私は両手で頭を抱え込むようにして髪の毛を抑える。
静電気でパリパリアホ毛大量発生してたら恥ずかしすぎるもの!
「……なにやってんだ、お前」
「ピリピリするから、静電気かと思って」
「ぶふっ」
私たちのやりとりを聞いていた晴人が噴き出した。
「鳴神くんは前途多難ですね」
時雨さんがやれやれといった風に苦笑する。
前途多難って……たくさん障害や敵がいて一筋縄じゃいかないことだよね。
「鳴神、そんなに敵だらけなの? 大変だね」
「……っ、おまえ、なあ!」
あははと笑い合うなか、いつのまにか現れていた八雲くんが空を指さした。
「あ、あの……! もうじき9時になっちゃいます。鳴神くん、急がないと!」
えっ、もう!?
冷静な八雲くんがいてくれて良かった。
このままお喋りしてて9時になっちゃうなんて後悔してもしきれない。
「マジか! よっし派手に決めてやるぜー!」
鳴神が人差し指と中指を擦り合わせる。
パチン!
弾けた電流が指先から生まれる。
それをきっかけにゴロゴロと雷鳴が響き出す。
ここまでは昨日と同じだ。
だけど、鳴神はまだ指先をゆっくりと擦り合わせたまま、雲を見つめている。
「鳴神、何をしてるの?」
「んー……まあ、ちょっとしたオプションってやつかな」
私に答えながら真剣に雲を見上げる鳴神の横顔は、なんだか別人みたいにカッコイイ。
勉強でもスポーツでも、真面目に取り組んでるのがカッコよく見えたりするもの。
だから今の鳴神は魅力が5割増しだ。
鳴神の隣で私も空を見上げる。
空全体に広がっていた雷雲が、ぎゅっと集まっていくように見えた。
その分黒さを増した雲の中で、今か今かと飛び出す時を待ち侘びる稲妻たちがはしゃいでいる。
「なるほどね。そういうことですか」
時雨さんが呟いた。
「そういうことって……どういうことですか?」
時雨さんは人差し指をぴんと立てて唇に添えた。ナイショ、のポーズだ。
「僭越ながら、わたくしもお手伝いしましょう」
時雨さんは中指も添えると、雲を囲むように指先でぐるりと宙に円を描く。
その円の中に閉じ込められた黒い雲は、まるで水をたっぷり含んだスポンジのように――
ザアアアア…………
「わあ!」
雨が、降ってきた!
私の歓声に応えるように稲妻が走り、雷鳴が轟く。
ゴロゴロゴロッ!!
「すごい……すごいすごい!」
窓の外から校門のあたりを見てみれば、あっという間に濡れて色が濃くなっていく。
これではすぐにグラウンドの土もぐにゃぐにゃに柔らかくなってしまうはずだ。
時計を確認する。
8時45分。
よし、計画通り。
頬を掴まれてた時より、ただ柔らかく触られてる今の方がドキドキする。
皮膚の表面がぴりぴりしてむずむずして落ち着かなくて……
はっ、これってもしかして……
肌荒れ!?
鳴神、もしかして静電気出してる?
だとしたら……
私は両手で頭を抱え込むようにして髪の毛を抑える。
静電気でパリパリアホ毛大量発生してたら恥ずかしすぎるもの!
「……なにやってんだ、お前」
「ピリピリするから、静電気かと思って」
「ぶふっ」
私たちのやりとりを聞いていた晴人が噴き出した。
「鳴神くんは前途多難ですね」
時雨さんがやれやれといった風に苦笑する。
前途多難って……たくさん障害や敵がいて一筋縄じゃいかないことだよね。
「鳴神、そんなに敵だらけなの? 大変だね」
「……っ、おまえ、なあ!」
あははと笑い合うなか、いつのまにか現れていた八雲くんが空を指さした。
「あ、あの……! もうじき9時になっちゃいます。鳴神くん、急がないと!」
えっ、もう!?
冷静な八雲くんがいてくれて良かった。
このままお喋りしてて9時になっちゃうなんて後悔してもしきれない。
「マジか! よっし派手に決めてやるぜー!」
鳴神が人差し指と中指を擦り合わせる。
パチン!
弾けた電流が指先から生まれる。
それをきっかけにゴロゴロと雷鳴が響き出す。
ここまでは昨日と同じだ。
だけど、鳴神はまだ指先をゆっくりと擦り合わせたまま、雲を見つめている。
「鳴神、何をしてるの?」
「んー……まあ、ちょっとしたオプションってやつかな」
私に答えながら真剣に雲を見上げる鳴神の横顔は、なんだか別人みたいにカッコイイ。
勉強でもスポーツでも、真面目に取り組んでるのがカッコよく見えたりするもの。
だから今の鳴神は魅力が5割増しだ。
鳴神の隣で私も空を見上げる。
空全体に広がっていた雷雲が、ぎゅっと集まっていくように見えた。
その分黒さを増した雲の中で、今か今かと飛び出す時を待ち侘びる稲妻たちがはしゃいでいる。
「なるほどね。そういうことですか」
時雨さんが呟いた。
「そういうことって……どういうことですか?」
時雨さんは人差し指をぴんと立てて唇に添えた。ナイショ、のポーズだ。
「僭越ながら、わたくしもお手伝いしましょう」
時雨さんは中指も添えると、雲を囲むように指先でぐるりと宙に円を描く。
その円の中に閉じ込められた黒い雲は、まるで水をたっぷり含んだスポンジのように――
ザアアアア…………
「わあ!」
雨が、降ってきた!
私の歓声に応えるように稲妻が走り、雷鳴が轟く。
ゴロゴロゴロッ!!
「すごい……すごいすごい!」
窓の外から校門のあたりを見てみれば、あっという間に濡れて色が濃くなっていく。
これではすぐにグラウンドの土もぐにゃぐにゃに柔らかくなってしまうはずだ。
時計を確認する。
8時45分。
よし、計画通り。


