てるてる坊主を作っただけなのに、お天気男子の溺愛が止まらないのですが!

 私の手に4人の手が重ねられる。
 こんな風に男の子たちに囲まれるなんて初めてで……どうしよう。
 
 たじろいだ私の肩を、鳴神がそっと支えた。
 
「シケたツラすんなよ。景気づけにもう1回カミナリ落としとくか?」
 
 !!
 
「それはダメ!」
 
 私は鳴神に噛み付く勢いで詰め寄った。他の3人がびっくりしてるけど、今はそれどころじゃない!
 
「せっかくお母さんたちが帰ってこられるようになったのに! またあんな風になったらお母さんたちだけじゃなくて、他の人達も困っちゃう!」
 
 そうだ。私は家の中にいたから雨も雷も大丈夫だったけど、外にいたひとたちはどんなにびっくりしただろう。傘を持っていないひとがずぶ濡れになったり、具合の悪いひとがカミナリで寝てられなくなっちゃったかもしれない。
 
「だから鳴神、ほんとに必要な時以外はぽんぽんカミナリ落としちゃダメだから! いい!?」
 
 おでこがくっつきそうなくらい顔を近づけて言い聞かせれば、鳴神はさっきまでのドヤ顔が嘘みたいにおとなしく頷いた。
 しん、と一瞬静かになった部屋に晴人の大笑いが響く。
 
「あの鳴神が! 暴れ雷神の鳴神がずいぶんと牙抜かれたモンだなー! いやー、貴重なモン見せてもらった!」
 
「ええ。ななみさんは猛獣使いのようですね」
 
「コツがあるなら教えて欲しい……かも」
 
 続いてくすくす笑う時雨さんに、困ったように笑う八雲くん。
 
 わたし、なにか変なことしちゃった?
 
「ななみ、どうやら俺たちはますますお前に夢中になりそうだ」
 
 お腹を抱えて笑い転げていた晴人がようやく体を起こすと、私の頭をぽんと撫でた。
 
「夢中って」
 
「まあ見てろよ。こうなればななみが俺らを呼び出して良かったと思えるくらい、とびっきり楽しい毎日を約束するぜ」
 
 おひさまみたいにニカッと歯を見せて笑う晴人と、少しブスっとしつつも頷く鳴神。
 おずおずと頭を下げる八雲くんと、頬に指を添えて微笑む時雨さん……

「か、神様って意外とフレンドリーなの、ね?」
 
「そうだな。ただしななみに限るってヤツだ。ま、俺らのことは神様っていうよりお天気男子とでも思っててくれ」
 
「お、お天気男子?」
 
 とんでもない日々が始まりそうな予感に心臓がバクバクと鳴り響いて止まらないけど……
 
 でも、これからが楽しみでもある。
 そんな気持ちになった。