「あのさ。願いの大きさって計れるわけ?」
「え」
唐突に鳴神に聞かれて答えに詰まる。
「そ……そりゃあ体重計みたいに目には見えないけど……でも、スケールは違うよ。世界平和と……たとえば全部の信号に引っかからないで帰れますように、とかじゃ全然違うよ」
「では、どうしても信号で止まれない事情がある場合はどうでしょう」
今度は時雨さんだ。事情ってどういうことだろう。
「たとえば、ご友人に何かあって駆けつける時。行方不明になっていたペットが見つかって一秒でも早く会いたい時。そんな時、人は強く願うものです。いくらスケールが小さくとも、その方にとってそれはすべてを投げうつ程の想いとなる」
……うん、そのたとえはしっくりきた。
願いに大きい小さいはない。そのひとにとって何が大切かが重要なんだ。
「付け加えるとするなら……願いに正解も不正解もないよ。これを願えばマル、これを願わなければバツ、とか……他人に言われて変わっちゃう願いなんて、それこそ雲みたいにふわふわしてるだけ」
八雲くんが遠慮がちに微笑む。
「ななみはマラソン大会が潰れて欲しいって強く願ったんだろ? それはななみにとってすっげー切実で替えのきかない願いだ。極端な話だけどさ、世界平和なら誰でも祈れる。けど、ななみの心の平和のために祈れるのはななみだけなんだぜ」
そう言いながら晴人はぎゅっと手を握ってきた。おひさまみたいにあったかい手だ。その手に鳴神も自分の手を重ねる。
「ななみの強い想いが俺たちを呼び覚ました。天気を動かす理由なんてこれだけで充分だ」
「ほ、他と比べてちっぽけだとか、考えなくてもいいよ。それを決めるのは願いを受け止める側の僕たちなんだから」
「そうです。もしご自分の願いに自信が持てないのであれば、こう考えてみてください。わたくしたちが、ななみさんを選んだ。ななみさんは選ばれたのですよ」
「え」
唐突に鳴神に聞かれて答えに詰まる。
「そ……そりゃあ体重計みたいに目には見えないけど……でも、スケールは違うよ。世界平和と……たとえば全部の信号に引っかからないで帰れますように、とかじゃ全然違うよ」
「では、どうしても信号で止まれない事情がある場合はどうでしょう」
今度は時雨さんだ。事情ってどういうことだろう。
「たとえば、ご友人に何かあって駆けつける時。行方不明になっていたペットが見つかって一秒でも早く会いたい時。そんな時、人は強く願うものです。いくらスケールが小さくとも、その方にとってそれはすべてを投げうつ程の想いとなる」
……うん、そのたとえはしっくりきた。
願いに大きい小さいはない。そのひとにとって何が大切かが重要なんだ。
「付け加えるとするなら……願いに正解も不正解もないよ。これを願えばマル、これを願わなければバツ、とか……他人に言われて変わっちゃう願いなんて、それこそ雲みたいにふわふわしてるだけ」
八雲くんが遠慮がちに微笑む。
「ななみはマラソン大会が潰れて欲しいって強く願ったんだろ? それはななみにとってすっげー切実で替えのきかない願いだ。極端な話だけどさ、世界平和なら誰でも祈れる。けど、ななみの心の平和のために祈れるのはななみだけなんだぜ」
そう言いながら晴人はぎゅっと手を握ってきた。おひさまみたいにあったかい手だ。その手に鳴神も自分の手を重ねる。
「ななみの強い想いが俺たちを呼び覚ました。天気を動かす理由なんてこれだけで充分だ」
「ほ、他と比べてちっぽけだとか、考えなくてもいいよ。それを決めるのは願いを受け止める側の僕たちなんだから」
「そうです。もしご自分の願いに自信が持てないのであれば、こう考えてみてください。わたくしたちが、ななみさんを選んだ。ななみさんは選ばれたのですよ」


