てるてる坊主を作っただけなのに、お天気男子の溺愛が止まらないのですが!

 しゃん、と鈴の音が鳴った気がした。
 
 
 もちろんどこにもそんなものはないけれど。

 彼の指先が横一直線に空を切る。
 まるで降りしきる雨を断ち切るようだった。
 
「はい。これにて止まりました」
 
「ええっ!?」
 
 にこやかに微笑む彼が窓の外を指し示す。慌てて窓にしがみつくように覗けば、雲は分厚いままだけれど、確かに雨粒はひとつも落ちてこない。
 
「次はあなたの番です、八雲(やくも)。」
 
「わ、わかった」
 
 グレーの癖っ毛の子が頷いた。私と目が合うとぴょこんとお辞儀をする。
 さっきのネイビーブルーのお姉さん(ではない!)とは違った意味で男の子っぽくはなかった。
 
「このまま雷雲を放置しておくと、雲の中でまた放電が始まっちゃうから……」
 
 そう遠慮がちに説明しながら、癖っ毛くんは宙にかざした手をぐっと握り込む。天に散らばった雲を掻き集めるような手つきだった。
 空を見ていると、癖っ毛くんの手の動きと合わせて黒くて分厚い雲がみるみる薄く白くなっていく。雷をバチバチと遊ばせていた雲はもうそこにはなかった。
 
「す、すごい」
 
「そう……かな。喜んでくれたなら、嬉しい。さあ晴人、仕上げだよ」
 
 長い前髪を揺らして照れくさそうに笑った癖っ毛くんは、髪を指に巻きつけながら晴人を見た。
 
「よっし! お膳立てサンキューな。見てろよななみ、俺の晴れパワー!」
 
 晴人が両手をぱんと打ち鳴らした。
 神社でするようなお祈りのポーズだ。
 すると、しばらくも経たないうちに窓辺から陽の光が射し込んできた。
 
「え……ええっ!?」
 
 うそ。うそみたい。
 でも嘘じゃない。
 
 さっきまで鳴神が呼んで暴れ回っていた雷も、ゲリラ豪雨みたいに叩きつけていた土砂降りもそこにはない。
 
 絵に描いたみたいな、青空がそこにある。
 
 窓辺にしがみついてぽかーんと口を開けて見ていると、後ろから笑い声が聞こえた。
 
 そうだ。呆然としている場合じゃなかった。
 
 勢いよく振り返ると、私の後ろに4人の男の子たちが座っている。
 
「お望み通りの結果になりましたか?」
 
 こくこくと頷く私に、ネイビーブルーの綺麗なひとが上品に頷いた。