数分で救急車は来た。 しかし、佐和にとっての その数分がどれ程 長く感じたことだろう。 何度 母の名を呼び掛けたことだろう。 母はストレッチャーに乗せられ、救急車の中へ吸い込まれていった。 佐和と父も一緒に救急車に乗った。 受け入れ先の病院が、なかなか決まらない。 このまま死んでしまうのだろうか。 大好きな母は…。 『…ありがとうございます!』 不意に救急隊員の1人が言った。 決まったのだ。 すぐさま病院に向かう。 赤いサイレンをくるくると回して。