さっさと嫌いになってくれ〜アイドルオーディションで嫌われたい男装美少女、なぜか姫ポジ獲得?!〜



「すごーい。先輩の部屋で教室一個分くらいあるんですね」

「まぁな……」


──結局上げてんじゃねぇよ俺っ……!!!!


俺の鉄のポリシーをぶち破って部屋に侵入してきた榛名千歳を前に、俺は内心死ぬほど頭を抱えていた。


いや、仕方なかったんだよ……千歳があまりにもしゅんとした顔をするから、捨てられた子犬みたいで放って置けなくて……そう、そうだよ捨て犬だよ。捨て犬保護の慈善活動で連れてきただけだ。

一応傘を貸してもらった恩もあるわけだし、この寒い中返すってのも後味悪かったからな。

あくまで犬だから、下心とか微塵もねぇし!!決して!!据え膳とかッ!!思ってねぇからッ!!!!


と、自分で自分に言い訳を叫び続ける俺の横に、千歳がとさっと腰を下ろす。

ふわ、とあの匂いが鼻腔を直撃して、俺は慌てて口呼吸に切り替えた。

あっぶね……もうこれ以上匂いに当てられたくない。犬のくせに清潔感のある匂い纏ってんじゃねぇぶっ飛ばすぞ。