「いいよ、飲みますよ俺」
「は?飲めんの?」
「もちろん」
千歳は俺からペットボトルを受け取り、微塵の躊躇もなく飲み口に唇を寄せる。
その桜色の薄い唇が、さっきまで俺が触れてた飲み口にぴとっと触れた。
あ、当たった。間接キス…………
…………いや待て間接キスっていうかそもそも同性同士だろうが。しかも異性だったとしてもこれくらいでドギマギすんなよ。
もっとえげつないプレイ色々経験してんのに、なんで俺は急に童貞みたいな思考になってんだ。キャラブレ起こしてんぞ九条霞しっかりしろ!!
内心死ぬほど頭を抱える俺をよそに、榛名千歳は涼しい顔で俺のコーヒーに口をつけている。
ガチで飲めんのかブラック……そんな苦い液体で舌拷問されて何が楽しいってんだ?
もしかしてこいつドMなのか?だとしたら、もしかしてベッドの上でも──
「何考えてるんですか」
「べっっっっつに」
ジトッとした視線を向けられ、俺は思いっきり視線を逸らす。
いよいよ俺、本当に熱出て気狂ってんのかもしれない、家で医者に診てもらわねぇと……。
ガチで自分が怖くなる俺の横で、千歳は呆れたようにため息を吐き、ペットボトルの蓋を閉めた。
