「ありがと、遥風!すごい助かる……!」
テンションが上がって思わず弾む声音。
遥風はそんな私を見てふっと目を細めると、自嘲気味に笑った。
「……親に無理やり芸能界に放り込まれたって点では、似てるのかもな、俺ら」
ぽつり、とこぼれた遥風の呟きに、思わず目を見開く。
……遥風も?
思い返してみれば、私は遥風について色々と分析はしていたけれど、本人から直接彼のことについて聞いたことは少ない。
なんとなく、遥風も自分のことについて語るのを避けていたような雰囲気があった。
だから、私も意識的にそういう話題は避けていたのだけれど……。
「親に無理やり、って?」
好奇心が上回って、思わず聞いてしまった。
静寂が降りる。
ちょっと息を呑み、躊躇うように視線を落とす遥風。
デリカシーが無かっただろうか。
「……ごめん。話しづらかったら、いいんだけど」
慌ててそう言うけれど。
「……いや、いい。千歳には言ってもいい」
ぽつりと呟いた遥風の声は、どこか遠くを見るように、ぼんやりしていた。
「親の夢を、背負ってるんだ。物心つく前からちゃんとしたレッスン受けさせてもらって、すげー良い環境で育った。その代わり、失敗したら見捨てられる。認めてくれるまで、ステージに立ち続けるしかない」
ドクン、と心臓が大きく跳ねた。
──何それ。昔の私と、まったく同じじゃん。
認めてほしい。愛してほしい。
努力の足を止めた瞬間、置いていかれる。
その焦燥感、絶望感。
いつも崖っぷちに立たされているような気持ち。
それでもがむしゃらに努力して、それでも報われなくて──捻くれてしまう。
遥風の極端な完璧主義は、そのプレッシャーによる焦燥感から来てるんだ。
そして、『自分を殺す辛さ』を知っているからこそ、私みたいな人の気持ちにも敏感になれるんだ。
