さっさと嫌いになってくれ〜アイドルオーディションで嫌われたい男装美少女、なぜか姫ポジ獲得?!〜



軒下、自販機の横の低いコンクリ塀に腰をかけ、ホットのミルクティーを両手で抱えて飲んでいる千歳。

ダボッとした袖から覗く細い指、華奢な肩、伏せられた長い睫毛に、思わずちょっと息が詰まる。

雨風に吹かれたせいで髪が若干乱れていたりするのも相まって、死ぬほど無防備だ。髪ちょっと濡れてんのなんかエロいな。


……

…………いや、は????

今なんつった??????


エロい?嘘だろ何がエロいって??男だぞ???

確かに華奢で小柄で女として見れば満点とはいえ、中身は正統派王子のフリした性根ド腐れ腹黒男だぞ????

雨に打たれて熱でも出たか俺。昨日あんなに派手に遊んできたくせにもう欲求不満かよ????


ったく、欲情どころか、ホントはこうやって同じ空間の酸素を吸うのでさえ嫌なのに……もしこんなとこを一般人に見られたら、俺らで仲良しコンビ認定されちゃうだろうが。路チューすっぱ抜かれるよりよっぽど痛いわそっちのが。

この通りは路地裏で人通りが少ないとはいえ、目撃されるリスクはゼロじゃない。

誰か来たら秒で隠れてやるからな……と、ひとり目を光らせていたその時。