考え込むように顎に手を添え、眉根を寄せる遥風。
「ほとんど虐待じゃね、それ?どっかに相談した方が……でもバレたら終わんのか。親が金持ちなら、訴えたって財力で捻り潰されそうだしな」
「……私も、お義父さんの素性が分かるまでは、下手に動かない方がいいかなって思ってる」
榛名優羽、という名前で検索をかけたことが無いわけがない。
けど、どれだけ探しても彼らしい情報は見つからないのだ。もしかしたら偽名で活動しているのかもしれない。
相談しにいった先に榛名優羽が働いているかも、なんて極端な例だけど、可能性はゼロじゃない。
だからこそ、あまり下手に周りを頼れないんだ。
遥風は、少し考えるように俯いてから、ぽつりと口を開いた。
「じゃ、こうしよ。もし俺がデビューすることになっても、お前の脱退に協力する」
……えっ、本当に?!
もしそうしてくれたら、かなり助かる。1人でやるより協力者がいた方が、何かとやりやすい。
もし遥風とデビューすることになったら、多分引き留められるだろうなと懸念していたから、その可能性が消えたのはかなりでかい。
ちょっと勇気出してわけを話してみて良かったかも……。
