さっさと嫌いになってくれ〜アイドルオーディションで嫌われたい男装美少女、なぜか姫ポジ獲得?!〜



ったく、俺としたことが……苛立ちを誤魔化すようにぐしゃりと髪をかき上げながら、俺は斜め下の千歳を睨みつけた。

ってかなんかさっきからコイツ、距離の取り方がいちいちキモいんだよ。

歩くたびに肩が触れたかと思ったら、離れて、また忘れた頃にくっついてきて……次いつ触れてくるのか、嫌でも身構えるようになってしまう。


コイツ、女相手にもこういう焦らしの小細工使って落としてんのか?

……ああ、分かった。純粋な魅力勝負じゃ負けるから、こういう小手先のテクニックだけ一丁前に発達したってことか。はは、情けねぇ奴。


ま、魅力勝負で戦えないのはそりゃ当然だよな。だいたい、こんな細っこい身体で一体どうやって女を守れるっていうんだ?どっちかっていうと守られる側だろ。

チビだし、ヒョロガリのモヤシだし、横顔だって女みてぇだ。首も細くて、喉仏だってあるんだかないんだか分かんねぇし、鎖骨だって細──


視線が、ぴたりと止まった。


第二ボタンまで開けられたシャツの襟元、白い鎖骨付近、ギリギリ見えるか見えないかの絶妙なライン──

そこからちらりと覗いた、くっきりと赤い小さな跡。


んっ?

んんん……??


キスマ……????